2009年5月 1日

上杉鷹山

全一冊 小説 上杉鷹山かのアメリカ合衆国大統領、J・F・ケネディへ、ある日本人記者が「最も尊敬している日本人は?」と質問したところ「ヨウザン・ウエスギ」と答えたそうだ。
この逸話の信憑性を疑問視するむきもあるらしいが、歴史好きな日本人でもメジャーどころには入らないであろう「上杉鷹山」という人物にかかわるこのエピソードは、何かしら興味をそそられるものがある。

上杉鷹山というひと、九州の小さな藩からわずか17歳で名門・上杉家の養子に入り、破滅の危機にあった藩政を建て直すべく、直ちに改革を断行。 以降、生涯にわたって改革を継続し、米沢藩を救った人物だ。
鷹山が米沢藩主になった当時は、とにかく財政が逼迫し、借入金の利子すら払えず、新たな借金も断られ、破綻寸前だったらしい。
そんな中で、改革の推進役には藩のなかで疎まれていた人物を意図的に採用し、抵抗勢力となった重臣らの裏切りなどにも屈せず、自らが行動し、倹約し、また汗を流しながら様々な改革を行っていく。
17歳でトップに立ち、72歳で生涯を終えるまで改革に情熱を燃やし、米沢藩は彼の死の翌年に莫大な借金を完済したというから、恐れ入る。

この本は「小説」と銘打ってあるので、事実を冷静かつ正確に記した伝記ではなく、様々なエピソードを交えつつ、鷹山の人生をドラマチックに描いた、やはり「小説」である。
ただ、理想のリーダー人物像として上杉鷹山を認識させてくれる、良い書であることはかわりないと思う。

少なくとも、今から200年以上も前の江戸時代中期に「藩(国)は人民の合意を実行するための機関である」というようなフィロソフィーを公言すること自体、大変な異端児として見られただろう。
現代におけるリーダーというと、総理大臣や自治体の長などを連想する。現在この国に、鷹山のような思想・哲学を明確に示し、かつ自らが行動で示す政治家がどれほどいるか?というのは、甚だ疑問だ。

もっと身近な存在は、自分のような庶民が属する会社の社長という存在だ。
そもそも会社は営利団体であるから、民主主義など存在しないし、国や自治体のような公僕という概念はない。
ただし、リーダーとしての社長の品格、理念、行動は、人や組織を率いることには重要だ。
自分が前職と現職で、オーナー社長や雇われ社長の利己的言動、日和見主義など、組織とそこにいる社員へ対する「愛」の決定的な欠如を経験してきているため、鷹山に対する尊敬や羨望がより強くなるのかもしれない。

まぁ、くどくなるので、興味があったらこの本を読むことをお勧めする。
決して損しないと思うので^^